2015年04月14日

海外のバー事情3(チップ2)

海外のバー事情2(チップ1)からのつづきです。
前回はチップを払うお客様側目線で書きましたが、今回はチップをいただく従業員側として書こうと思います。
香港の多くのお店はチップをシェア制(トータル金額をフルタイムスタッフで割る)でチップを分配しています。しかし香港でも個人チップ制だったり、シェア制でも個人チップは別扱いにするところもあります。
個人扱いにするお店はCOD(説明はこちらをクリック)のお店に比較的多く、オーダーを取って持ってきてくれたりしたときにその都度そのスタッフに渡したりするのでそうなることが多いようです。
お会計が一括後払いの場合、お客様はお店全体へのチップを置くので均等にシェアするのが無難なので後会計のお店の多くはシェア制にしているのだと思います。
ちなみにチップは課税対象にはならずお店の規模や内容によっても違いはあるものの一月あたり日本円にして数万円程度の金額になりますので、スタッフたちにとっては大事な毎月の収入になります。

チップに関することで私の過去の経験談を書かせていただきたいと思います。

以前、私がとあるお店のマネージャーとして転職をしたときの話です。
そのお店に行ってから私は当然のごとくお店の改善をするためにいろいろなことを行っていきました。当然前からいたスタッフの中にはそれをよく思わない人もいます。その中でも私が行くまでマネージャーではないものの実質上現場のトップ的な位置にいたスタッフは私に対して明らかな敵対心を見せ他のスタッフをまとめて反発的な仕事をするようになりだしました。
私は時間をかけてでも仕事で結果を出し信頼を勝ち取っていくしかないと思い、掃除でも洗い物でも率先してやってお店の改善に努めていきました。
そのときはまだそんな状態なので、彼らを教育してトレーニングするよりもとにかく自分が率先していいサービスをおこない、彼らに手本として見せていくべきだとカウンター内業務も表に回っての接客もどんどんやっておりました。
スタッフの一部には私に対して少しずつ心を開いてくれる人もでてきましたが、私に敵対心を持っている子の見てる前ではそういう人たちも少し私との距離を取ろうとしてきます。
彼が私に協力させないように働きかけてるのは明らかでした。しかし、私はその彼のことは気にせずにひたすらお店のサービス改善に努めました。
そして、1ヶ月が過ぎた頃チップの分配をした次の日の営業でのこと・・・
今までは私が洗い物をしていても何も言わなかったスタッフたちが「洗い物は私たちがするから、あなたはお客様のところへ行って」と私に替わって洗い物をやってくれたり。お客様にオーダーを提供した後、説明などをしていると空のトレーを取って引いてくれたりとみんなが私の仕事のフォローをしてくれるのです。
私に敵対心を持っていたスタッフ以外みんなが私をフォローしてくれるので、あるときにスタッフと話していたら「あなたがお店にきてチップが倍以上になった」ということでした。そしてその日を境にみんながサービスの改善ということに意義を感じてくれだしたようで、私の指導もどんどん受け入れてくれるようになりました。
私に敵対心を持っていたスタッフだけがなかなか心を開いてはくれませんでしたが、他のスタッフたち全員が私を信頼してくれるようになってきたら当然彼だけ孤立してくるので、彼もだんだんと私の指示をちゃんときくようになりだしました。あのときの私はチップというシステムのおかげで思ったよりも早くスタッフたちの信頼を勝ち取ることに成功しました。
それまで、あまりチップというものにたいしては何も考えませんでしたが、この時からスタッフたちのチップのことを考えるのもマネージメントとして大事だなと思うようになりました。

他にもチップの話はいろいろいい話があります。ここに書けばキリがないので割愛しますが、多くの方にチップはただのお金ではないということを知っていただきたいです。お客様の満足度や感謝の気持ちを感じられるものであり、スタッフたちと仕事の満足感を共有できるありがたいものだと私は思ってます。

いつも多く払ってるお客様が急に払わなかったら「今日は何かやらかしたのかな?」とか相場以上のチップをくれる人がいたら「俺たちはいい仕事ができた」と思えるものです。
もちろんお釣りの小銭が面倒くさいからとか、なんとなくっていう人もいるのかもしれませんが、それでもいいんです。
以前のお店ではチップ分配日には必ずみんなで飲みに行ってましたが、やぱり頑張ったと評価された感じた後にみんなで飲むお酒はおいしいものです。

受け取る側の気持ちがわかるから、私はよそに行ったらよっぽどのことがない限り必ずチップを置いてきます。

Hirakawa
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2015年04月13日

海外での飲食店開業 香港編Part4

今回は「立ち上げの最初に決めること」として書いていこうと思います。
どういう意図でお店を立ち上げるかによって、コンセプトや経営内容、そしてオープン準備の流れが大きく変わってきます。
そういったことを考えてみましょう。

まず、お店の開業にはいろんなきっかけがあります。それらをケース別に見ていきたいと思います。
@「人物ありき」の場合
オーナーが「この料理人のお店を出したい」とか「このバーテンダーにお店を任せたい」などということでお店を立ち上げようとなった場合、その料理人やバーテンダーの持つスタイルをもとにコンセプトを作ることから始めないといけません。
物件選びもしっかりコンセプトを練ってターゲットとなる客層がいるエリアで探していく必要が出てくると思います。そこにその人の作るものの価格帯を考え席数と回転率を考えて収支の予測を立てないといけません。(物件の選び方はあらためて別の時に書きます)
そして、物件が決まった後も内装や設備などもその人を軸にものごとを考えていかなくてはなりません。
もし人物ありきでお店を考えるなら、会社やオーナーはその人物との契約を最重要視していろいろ考えないといけないと思います。なぜならその人が辞めてしまうとお店のコンセプトが崩れかねないからです。
そして、料理人もバーテンダーも人間ですので、どんなに給料が良くても待遇が良くても自分のやりたくないことをやらされるのは嫌なはずです。物件などを決める前にコンセプトやその人の意向などを確認しお互いにやっていけるかどうか充分に話し合ってお互いに納得できる契約をする必要があるでしょう。私は雇われる側の立場なのでこんなこと言うのもなんですが。オーナーが人物ありきで雇う場合は、給料面も優遇してくれるのですが、結構福利厚生などをしっかりするところが多いです。住むところを用意したり、家族のいる人には保険や手当、休みの条件なども優遇すれば簡単に辞めたりはしないだろうと思うからだと思います。
やはりこの場合はお店を作るビジョンがはっきりしていてコンセプトがまとまりやすくいという大きなメリットがあるのですが、店舗物件の契約期間や投資金回収の終わるまでの間はその人物が辞めてしまったら、コンセプトもろとも揺らいでしまうという大きなリスクがあるのがデメリットです。

A「業態ありき」の場合
オーナーが「●●をやりたい」という意思で開業する場合。
それは、日本食レストランやイタリアンレストラン、ラーメン屋、バーなど様々ですが、やりたい業態が決まっているのであればまず、メインスタッフ(料理長やヘッドバーテンダーなど)とその業界に通ずるプロジェクトマネージャーを最初に探すことから始めるのが良いでしょう。どんな業態でも始めるにはノウハウと動ける人間が必要です。いきなり物件を作りはじめても現場で不具合が出て後から作りなおすことになれば無駄なお金がかかりますのでノウハウのある人間をできるだけ早い段階で入れておいたほうがいいでしょう。
そして人選もそのオーナーがやりたいと思っているスタイルで働ける人を捜さなくてはなりません。意外とこれが一番大変なことで、なかなか思うような人材が思ったような条件で動いてくれるということは簡単ではないのです。始まるきっかけは「業態ありき」でも動き始めれば「人ありき」になってしまいます。
プロの料理人やサービスマンを必要としないカジュアルな業態ならやりやすいでしょうが、寿司屋やフレンチシェフなどのような専門的なスキルが必要な業態になればなるほど人選は大変だと思います。

B「物件ありき」の場合
「いい場所で手頃な物件があるから何かやりたい」という場合のケースです。
まずその物件のエリアによっていろいろと条件が変わってきます。例えばオフィスエリアなら平日のランチタイムや夕方がメインのビジネスチャンスタイムになりますが、飲食店が多い繁華街なら比較的週末がメインの夕方から深夜までのビジネスチャンスタイムになるでしょう。ショッピングエリアでは週末のデイタイムからディナータイムくらいまでがビジネスチャンスタイムという風にその場所のビジネスチャンスがある時間帯に強い業態を考えて決めなくてはなりません。
こういった場合は場所も家賃も先にわかっているのでしっかりシュミレーションした収支計画をしっかり立ててからそれに見合った人選、業態選びをするほうがいいでしょう。なぜなら「物件ありき」なのでその場所じゃなくて他の場所でやったほうがいいような業態になってしまって場所の選び直しをしなきゃいけなくなったら本末転倒だからです。
ただ、こういうしっかりしたコンセプトがない形でお店をはじめるのは少し難しいと私は個人的には思います。

C「お金ありき」の場合
わかりやすくいうと金持ちの道楽で何かやろうという場合です。あとは企業が店舗展開において新規業態に乗り出すなどという場合です。
お金を持っている人が「何か飲食業に投資したい」という動機で出す場合なのでどこにも軸はありません。この場合はお店を出したいエリアのこれから来るトレンドを先読みすることが大事でしょう。そのエリアで需要は増えてきているけどそのエリアにはない業態というのをリサーチして業態を決めてからコンセプトを練るのがいいでしょう。それが決まったら後はほかと同じようにコンセプトという軸に沿って肉付けしていけばいいのです。

このようにどういう形で始めるかによっても微妙に流れが変わってきます。
そして上記4つに当てはまらないものもあるかとは思いますが、ここまで読んでいただければわかるように一番最初に必要なのは業態の確定とコンセプトです。

それが決まれば物件選びもスムーズにすすむはずです。
特に主要人材の確保は一番大事な部分であり、難航しやすい要因だと思います。

ということで、少なくとも物件を決める前にやっておきたいことは
主要人材の確定とコンセプトの確定
これを決めておかないとどういうアプローチから開業するにしても、方向性が定まらず物件を決める要因もあいまいな判断になってしまいます。

お店の開業においては様々なケース、状況がありそれに応じて動きも様々になってくるとは思います。ものごとは一筋縄ではいきません。絶対のセオリーや完璧な教科書はありませんが、人間には様々なケースに対応できるような判断力は身に付くものだと思います。そういうマネージメント力を付けていきたいなと思う今日この頃です。

Hirakawa
posted by Robusto at 19:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 海外での飲食店の開業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月12日

世界への挑戦4(海外で何をやっていくか?)

世界への挑戦において自分の目的ややるべきことは常にしっかり考えていかなくてはなりません。
世界への挑戦1(決意の理由)でも書いたことを読んでいただいてからこちらは読んでいただきたいと思います。

もし私がお金持ちになりたかったらバーテンダーという仕事は選ばなかったでしょう。お金持ちになりたいなら飲食業なんかよりもっと他にも効率的な仕事があるからです。
私がバーテンダーになった理由
もちろん飲食業である程度の財を成すことはできると思います。しかし、飲食業にはお金儲けということよりも違った楽しみがあります。お客様に味や雰囲気、サービスなどを楽しんでいただくという喜び。多くの人々と出会うことができいろんな話を聞くこともすごく楽しいことです。
普段の生活では出会わないような人とも出会うことができるのです。カウンターで繰り広げられる会話はビジネス、恋愛、日常のことなど様々です。多くの人々の価値観や感情、知識、経験といったものを知ることができます。こんなありがたい経験ができるのもバーテンダーならではのことです。
当然、バーに限ったことではありませんが、飲食店の営業というのはビジネスです。お店に利益を与え、一緒に働くスタッフたちとともに給料を稼がなくてはなりません。
ここまでの話だと海外とは関係ないかもしれません、しかし今からなぜ海外なのかということをお話させていただきます。
世界への挑戦1(決意の理由)を読んでいただいてるということ前提でお話させていただきます。
まず、日本と海外ではバーテンダーの立ち位置というか目指すものが少し違います。そして、飲食業に限ったことではありませんがビジネスの形も少し違います。
日本と違い海外のバーテンダーは独立志向はほとんどありません。立ち位置もウェイターなどと同じであまりプロという意識の高いバーテンダーは多くはありません。(近年の香港は変わってまいりましたが)
これに関しては今後どんどん変わっていくと思いますし、日本のバースタイルに近いものが増えていくでしょう。
そして、今私が海外で必要とされるバーテンダーの理想を考えるにあたって重要なことが一つあります。
それはマネージメント能力ということです。
詳しい内容はカテゴリ「自分のめざすもの」で書かせていただきますが、ここではなぜそれが必要かということを書かせていただこうと思います。
まず、会社の経営においても日本と海外の傾向には少し違いがあります。
日本の場合先ほども話したように独立志向というものが高いということもあり、創業者がそのまま経営のトップであり現場を仕切るトップの経営者となる会社組織が比較的多いです。例えば本田技研の本田宗一郎さんや松下電器の松下幸之助さんのような方々がわかりやすい例です。そして創業者から代替わりしても同族経営をおこなう会社も比較的多く見られます。
では海外はというと、比較的経営者がプロに経営や運営を任せることが多いです。日本国内の例でいうと日産のカルロスゴーンさんのような形です。出資者と現場のトップは別です。出資者は経営のプロにすべてを任せてその人物では経営状態がよくなければ、出資者が経営のトップを替えるという形で経営の舵取りはプロに任せることが多いのです。
わかりやすい例でいえばプロスポーツチームの経営者と監督のようなものでしょうか?少し位置関係は違いますが、経営者は采配や育成などをプロの監督に任せるのと同じようなことです。
そして海外でプロのバーテンダーでやっていくうえでは少なからずともある程度のマネージメントスキルは必要だと思うのです。
なぜなら、日本からわざわざ高い給料を払って呼ぶわけですから、下っ端のポジションというわけにはいきません。最低でもバー内の原価率の管理やストックコントロールくらいはできないとなりません。しかしそれだけでは少ないと思うのです。大きいお店なら別ですが、小さいお店となればトップのポジションに立つことになると思うのです。
そこで必要なのはマネージメントスキルです。
それがいずれ「この人を入れればお店が良くなる」という結果に繋がり、いろんなところからオファーが来ることに繋がります。私はそういうトータル的な意味合いで現場側のプロとして海外で活躍していきたいと思ってます。
カクテルを作る技術やお酒の知識も大事ですが、マネージメントスキルを養い、外国人スタッフを引っ張っていくリーダーシップを磨いていくことがプロのバーテンダーとして海外でやっていく一つのテーマだと思ってます。

Hirakawa
posted by Robusto at 23:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 世界への挑戦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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